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2012年9月 3日 (月)

ナタリヤさんのお話を聞く会・報告!

9月になりましたね!

もう、1か月が経ってしまいましたが、8月2日に行われたナタリヤさんの報告とまとめを しますね。

当日は、もっとも、暑い時間帯。午後2時開始!にもかかわらず。受付開始時間には、多くの市民の方々が押し寄せておられました。中には人吉から来たという方も。ナタリヤさんへの関心の高さがうかがわれました。最終的には61名もの方々が来られていて満杯状態でした。

さて、以下にうちのメンバーが、まとめてくれたお話を掲載します。

中でも、衝撃的だったのが、2900地区の地区で子供の誕生がゼロであるということ。

ウクライナ地方では、正常な出産は3分の1しかないこと。放射能汚染地帯ではさらに少なく14%。(7~8割の出産は異常分娩になっていること)  人口減少が激しく事故後700万人減少していること。

改めて原発事故の恐ろしさ、26年目の現実、福島の未来を思わされました。

苦しく、重い犠牲を経te、今あるウクライナの現実から、もっと日本は学ぶべきでしょう。

以下、メンバーのAさんのまとめです。

===================================

 

チェルノブイリ事故から26年目の現実

 

~ウクライナからの研究者~

 

ポドリヤク・ナタリヤさんの話を聞こう!

 

(久留米大学非常勤講師 久留米大学比較文科研究所員)

 

 

 

201282日(木)

 

ウエルパルくまもと あいぽーと内会議室

 

「ナタリヤさんの話を聞く会」実行委員会主催

 

(西島衛治先生・九州看護福祉大学教授、NPO法人環境ネットワークくまもと、熊本・原発止めたい女たちの会)

 

参加者61

 

 

 

講演要旨

 

〔1〕ウクライナにおけるポスト・チェルノブイリの現状

 

1986426日、旧ソ連ウクライナ共和国のチェルノブイリ原子力発電所4号炉において、事故が発生した。それにより、政治危機、経済危機、環境問題、社会問題が深刻となり、人々の生活や意識にも影響や変化をもたらした。

 

 

 

〔2〕政治・経済危機(Ⅰ)

 

・ ソ連共産党は、チェルノブイリ事故に関する情報一切を秘密扱いとした。プリピャチ市民は事実も危険性も何も知らされず、普段と変わらない生活を続けていた。子どもたちは外で遊んでいた。

 

・ チェルノブイリ事故の内容は、1988年ウクライナ環境連合のNGO組織によって明らかにされ、ようやく汚染マップが発表された。また、事故後の問題解決がほとんど行われていないことや、ソ連中央政府の金庫が空っぽであることが明らかになった。

 

 

 

〔3〕政治・経済危機(Ⅱ)

 

・ ウクライナ政府は、ソ連中央政府を当てにせず、自力で事故後の政策を実施せざるを得なかった。

 

1991年、ウクライナ独立。ソ連崩壊。

 

19921995年の間に急激なインフレ。1999年まで、事故処理と避難者援助のためにチェルノブイリ特別税(給料総額の12%)を実施。

 

 

 

〔4〕環境問題

 

①放射能汚染の実態

 

・ 放射能の総放出量は190トン(5000Ci:キュリー)

 

・ 広島原爆の500個分。人々が浴びた放射能量は広島の90倍。

 

・ 汚染は数千キロ離れた国々にまで及んだ。ウクライナ、ベラルーシ、ロシア、ポーランド、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、ドイツ、ハンガリー、スロベニア、リトアニア、ギリシャ、ブルガリアなど。

 

・ ウクライナ全土の1/10は放射能汚染地域になった。汚染地域は4ゾーン(立ち入り禁止ゾーン、強制的移住ゾーン、自発的移住補償ゾーン、放射能高度監視ゾーン)に分けられており、総計55千平方kmになる。九州と四国を合わせた面積に匹敵する。

 

・ 日常的に天気情報の次に放射能汚染情報が伝えられている。それが当たり前のことになっている。

 

・ チェルノブイリ原発の周辺では、放射能の影響で草木は黄色く変色し、松の木は赤くなっている。赤の森と言われている。

 

・ 退避ゾーンに入るには特別許可が必要。

 

 

 

②放射能の生態系への影響

 

・ 大気中に放出された放射能が全ての動植物を汚染した。

 

・ 放射能が地下水に移動し、水源の川などを汚染した。ウクライナ人口の85%以上の人々(3700万~4700万人)が川から水道水を引いている。川の水源にはチェルノブイリ市やプリピャチ市があり、水源の近くにはソ連軍の残した汚染された戦車やヘリコプターなどが放置されている。

 

・ 放射能が植物連鎖に入り込み、人々の内部被曝とさまざまな病気を引き起こした。動植物の奇形も多発。

 

 

 

③人間が被曝する経路

 

・ 地表に沈着した放射性物質からの外部被曝

 

・ 大気中を漂う放射性物質の吸入:1015

 

・ 汚染された食べ物や飲み物を摂取することによる内部被曝:7085% 一番怖いことだが、五感では感じることができない。

 

1997年に、飲料水と食品の基準が改訂された。改訂前10年間の間に、内部被曝が被曝全体の7085%を占めることが分かってきたことにより、厳しい基準になった。日本でも、ウクライナの経験を基準作りに活かしてほしい。

 

 

 

〔5〕ウクライナ住民の環境の変化と健康状態の変化

 

放射能汚染を受けたウクライナの住民数

 

 19861987年に原子炉周辺で事故処理に従事した人々:2236000

 

  19881990年に原子炉周辺で事故処理に従事した人々:618000

 

  強制避難した人々:81000

 

  放射能汚染度の低い地域に住み続けている人々:1629700

 

 ①~④に属する人々から生まれた子ども:1242900

 

・ 被災者国家登録によると、放射能の影響を受けた被害者:3364475人(全ウクライナ住民の10%弱)

 

・ ソ連中央政府の命令により、事故処理に当たったのは、ウクライナの若い兵士たちだった。不十分な防護服で、危険に対する説明もほとんど無いままに作業に従事させられた。人々は放射能汚染というものがわからなかった。

 

強制避難させられた人々は、シャワーを浴びさせられ、放射能を洗い落とされ、彼らの新しい人生が始まった。裸で家もなく、友人もなく、お金もなく、過去すらなく、あるのは先の見えない未来だけだった。

 

 

 

②子どもの健康変化(2003年)

 

・ 放射能汚染の影響を受けた子どもたちの発病率は79.8%。事故前より2.9倍増加。

 

1,000人当たり2,845人が病気に罹っている。一人の子どもが複数の病気を持っていることを示している。

 

・ 汚染地域の病気(1,000人当たり)

 

免疫低下病(チェルノブイリ・エイズ) ほとんど全員(鼻血、疲労感、眠気、なんとなく不健康)

 

内分泌系の病気             530.0610.9

 

血液の病気                78.4147.6

 

先天性の病気               375.1

 

・ 障害児率(1,000人当たり)

 

汚染地域   351.9

 

非汚染地域 173.8

 

・ 子どもの心臓病の増加:放射能は血管をボロボロにするため、子どもの心臓病が増える。

 

・ 発達障害、統合失調症、てんかん、ダウン症なども増加。

 

・ 障害児が増えているため、養護学校の中だけではなく、普通の社会で暮らせるようにする必要があるが、まだまだそのような教育が進んでいない。日本で学ぶために留学したが、日本も遅れている。

 

 

 

③大人の健康変化

 

・ 大人の発病率(1,000人当たり) 1,492

 

・ 病気

 

血液循環   471.7人(毎年10.9%増加)

 

呼吸器系   241.4

 

消化器系と腫瘍  143.1

 

・ 障害者率(1,000人当たり)  103人(19882002年の14年間で障害者数が22.5倍に増加)

 

 

 

④人口の変化

 

・ 合計特殊出生率 1989年:1.92002年:0.9 

 

1989年頃は、まだ放射能の影響がわからなかったが、その後影響がわかってきたために出生率が下がってきた。

 

・ 妊婦の甲状腺疾患発病率 8.7倍→子どもの先天性異常も多くなる

 

1997年から2900地区では子どもの誕生は「ゼロ」

 

・ 正常出産は平均31%、汚染地域では14

 

・ ウクライナの人口は700万人減少した(人口の1/10減)。原因は大人の病気による早死にや子どもの出生減少。平均寿命は女性72歳(1986年)から6566歳(現在)へ、男性61歳(1986年)から50代(現在)へと短命になった。汚染地域の死亡率は、1986年に比べて1998年は22%増加した。

 

・ ウクライナ人は絶滅するのではないかとまで言われている。

 

 

 

⑤ウクライナ住民の健康変化のまとめ

 

・ 自然発生的な流産や死産児の増加

 

・ 新生児のDNA異常や先天的な異常の増加

 

・ 子どもの発病率と罹患率の増加:特に免疫低下病(チェルノブイリ・エイズ)やホルモン病

 

・ ガン発症率はじめ血液・造血器系病、循環器・呼吸器系病などの増加

 

・ 神経精神病率や発達障害率の増加

 

・ 老弱化:見た目も体内も、実年齢よりも10歳くらい老化している。

 

・ 死亡率の増加

 

⑥被曝影響の評価

 

・ WHO報告(2006年):2005年までの被曝による死者は50人だった。今後被曝による死者は4000人、と予測。

 

・ グリーンピース報告:妊娠中に被曝した人の胎児には、性器発達障害が見られ、汚染レベルと相関が認められた。妊娠中に産婦人科を受診した汚染地域の人は、非汚染地域の人の5.5倍。セシウム 37、ストロンチウム90は、母体に蓄積され、汚染地域では未熟児や先天異常児の出生が78.2%に上った。

 

 

 

〔6〕ウクライナ住民の意識の変化

 

①周辺の環境状況についての満足度(2000年):環境に満足している人はいない。大半は、子どもに与える食べ物に不満を持っている。

 

②事故後の生活評価:事故は生活に影響を及ぼし、それによって意識も変化した

 

・ 最も恐れていること:難病

 

・ 若者の最大の関心事:健康と治療の問題

 

・ 子どもを欲しくない若者は26%。その理由はチェルノブイリ事故の影響が心配だから。

 

 

 

〔7〕まとめ

 

・ プリピャチ市は原発の4キロ北に位置する。48000人がここに住み、この街を愛していた。

 

・ 事故発生後数日間は普通に生活していた。それから説明もなく避難バスに乗せられた。軍人や戦車が町に入っていったので、何かが起こっているとは思ったが、政府から説明はなく、原発で働いていた人たちも口止めされていたために、情報がなく何も分からなかった。

 

・ 今でも情報はあまり出てこない。

 

・ 現在被曝者は3世代にわたり、家族全員が被害者証明書を持っている。   

 

・ 第3ゾーン、第4ゾーンには今も人々が住んでおり、放射能マークの立て札があるところで、子どもたちが遊んでいる。  

 

・ 住民は放射能に対して鈍くなってしまった。普通に日常生活を送っている。

 

・ 立ち入り禁止ゾーンには人間が入れないので、狼が増えており、人や家畜に被害が出ている。 

 

 

 

 

 

西島衛治先生のお話

 

チェルノブイリでは事故後数日間は普通に生活していた。その間に人々は、大変な被曝をしてしまった。福島も同じ。外国人は本国からの情報でいち早く避難したが、地元の人々は知らなかった。政府が情報操作していたし、マスコミも政府と同じ。NHKのアナウンサーは爆発した時に、爆発と言わずに「煙」と言った。

 

チェルノブイリでは、3年間は病人が出なかった。数年後の福島を危惧している。また、保障に200兆円かかるといわれているが、4兆円で終わらせようとしている。水俣と同じだ。地域と期間を限定して、保障を切るつもりではないか。

 

九州の原発も稼動させようとしている。玄海原発など、老朽化して脆弱になっているし、活断層もある。九州の原発も危ない。

 

日本政府は情報を国民に知らせないから、自分で測るしかない。日本人は楽天的。心配し過ぎるくらいでないと、命は守れない。

 

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コメント

先日は、貴重なナタリヤさんの報告会に参加させていただき、ありがとうございました。
チェルノブイリ事故から26年経っての厳しい現実に、あらためて衝撃をうけました。
自身のブログ(8月25日)に載せてもう少し詳しく補足したいと思っていたところ、先程
「熊本・原発止めたい女たち」HPに内容詳細を拝見しました。
これを読んでいただいた方がよいと思い、HPを紹介させていただきました。
これからも、よろしくお願いいたします。

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